カンボジアにおける官民連携による食品安全基準の策定支援および検査ビジネス展開

カンボジアでの食の安全問題
新興国では食の安全が大きな社会課題となっています。カンボジアでも、少し前の情報になりますが、2013年に政府が行った調査では、市場で売られていたサンプルのうち22%から国際的な基準と比較して安全性に問題があるレベルの残留農薬や化学薬品が検出されたことがニュースになりました。カンボジアの一般の消費者の多くは、違法な農薬や化学物質に汚染された野菜が流通していて健康に害があることを知っています。そして、自分たちが普段食べている野菜は体に悪いのではないか?という不安に感じています。
ビジネスのために国の仕組みを作る

アイ・シー・ネットの強みは、創業以来25年以上にわたってJICAなど政府系機関によるODAプロジェクトを通じて、世界中の開発途上国の政府と一緒に現地の制度や仕組み作りをしてきた経験とノウハウです。この強みを活かし、民間企業がビジネス展開をするために新興国で必要とする制度や仕組みを、私たちが一緒になって現地政府に対して働きかけ、制度を作るところからサポートしています。その後、現地の制度や仕組みが出来上がった後に、私たちのクライアントである民間企業が現地でサービスを提供するといったビジネスモデルを考えています。
株式会社スペックの取り組み
カンボジアで社会課題となっている食の安全確保を求める消費者に、衛生検査所として貢献できるという思いから、2012年よりカンボジアでの事業開発に取り組んでいます。
カンボジアで衛生検査ビジネスを成立させるうえでの大きな課題は、カンボジアには食品衛生の基準がない、ということです。スペックが検査を行うにも、どのような基準に準拠して検査を行うべきなのか?といった判断基準が未整備なのです。
一国の食品安全基準を作るには、カンボジア政府に対して働きかける必要があります。そこでスペックとアイ・シー・ネットは、JICAによる支援を受け、現地の農水省や商業省と一緒に食品衛生の基準作りに向けた取り組みを始めています。

カンボジア初の登録衛生検査所を目指して
カンボジアにおける食品安全の基準を現地政府が策定した後、日々の残留農薬などの食品衛生検査は、民間の検査所の役割です。現在、カンボジアにはこのような検査を行うことができる民間の検査所は存在しません。スペックは、カンボジアで初の民間の登録衛生検査所となることを目指しています。