参加型村落開発による持続可能な環境保全活動の推進

広がる自然破壊と対象者を限定した普及活動
アフリカ諸国では、急激な人口増加にともなう農牧地の拡大や、薪炭材の確保に起因する森林伐採によって、森林面積が年々減少しています。そして、森林減少・劣化により土地の保水能力が下がり、大量の土砂が河岸から流入し、河床の上昇や土砂堆積による耕作面積の減少、土壌流出による農地の生産性の低下による農作物の収量減少など、農業が主要な産業である国々では深刻な問題となっています。これらの問題の解決には、森林保全・植林活動・土壌保全などの自然資源管理技術が広く普及され、住民によって実践されることが必要です。しかし、自然資源管理の技術普及を目的とするプロジェクトの多くは、代表者(篤農家、モデル農家、住民グループなど)を選んで技術を伝達し、そこから大多数の住民へ技術が伝わることを見込んだ「選択型普及アプローチ」と言われる手法がとられています。しかし、技術移転をした代表者から他の住民に技術が伝わらない、選ばれた住民と選ばれなかった住民の間での軋轢の発生など、負の影響も少なからず生じています。
全ての住民に均等な機会を

全ての住民に均等な研修の機会を保障するPRRIEアプローチは、セネガル国「総合村落林業開発計画」、マラウイ国「シレ川中流域における農民による流域保全活動促進プロジェクト」、マダガスカル国「ムララノクロム総合環境保全・農村開発促進手法開発プロジェクト」で開発、改善され、開発コンサルタントやNGO職員などにより、様々なプロジェクトで実践されています。
これらの活動は、SDGs6のターゲット6.6がめざす「2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う。」、SDGs15のターゲット15.2がめざす「2020年までに、あらゆる種類の森林の持続可能な管理の実施を促進し、森林破壊を阻止し、劣化した森林を回復し、世界全体で植林と森林再生を大幅に増加させる。」に大きく貢献しています。
プロジェクトの枠を超える
この普及アプローチは、現地の行政官によりプロジェクト終了後も実践され、更には他省庁や他ドナー、NGOなどにも採用されるなど、プロジェクトの枠を超えた広がりも見せています。

全ての住民が参加できる普及活動を
PRRIEはまさに、SDGs1のターゲット1.4の「2030 年までに、貧困層および脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。」にも寄与する普及アプローチです。当社は、PRRIEアプローチを通じて、全ての男性、女性が平等に研修に参加し、森林減少や土壌劣化を抑制するための対策を地域住民自らが考え、実践することを後押ししていきます。
セネガル国「総合村落林業開発計画」
(動画) https://jica-net-library.jica.go.jp/lib2/05PRDM014_s/move01.html
マラウイ国「シレ川中流域における農民による流域保全活動促進プロジェクト」
https://www.jica.go.jp/malawi/office/information/event/151007.html
マダガスカル国「ムララノクロム総合環境保全・農村開発促進手法開発プロジェクト」
https://www.jica.go.jp/project/madagascar/002/index.html
https://www.jica.go.jp/oda/project/0800978/index.html
https://www.jica.go.jp/topics/2017/20170919_01.html