Achievements

実績

妊産婦と子供の健康改善のための地域栄養教育

アプローチ
地域
国名 グアテマラ
SDGs 飢餓をゼロに
クライアント 独立行政法人国際協力機構(JICA)

5歳未満児の約半数が慢性栄養不良

世界では、毎年300万人もの子供(5歳未満児)が栄養を起因とする症状で亡くなっています。栄養不良のなかでも、急性栄養失調のように急激な体重の低下といった見た目に顕著な症状として表れるわけではない慢性栄養不良の対策は、長い間開発の主要テーマとしては認識されてきませんでした。慢性栄養不良はビタミンやミネラルなどの微量栄養素不足によって引き起こされ、免疫力の低下による病気の罹患率の増加、脳や体の発達障害へとつながります。

グアテマラ共和国は、中米諸国の中でも妊産婦死亡率や乳児死亡率が高く、5歳未満児の約半数が慢性栄養不良の状態にあります。慢性栄養不良の主な原因は、食事の量や栄養の偏りですが、他にも、貧困、教育の不足、生活習慣、インフラなどの生活環境の未整備といった社会、文化、環境が複雑に絡んでいます。慢性栄養不良の患者を処方する保健医療の問題も大きく、医療従事者の技術の低さや医療施設の未整備等により、適切な保健医療サービスが提供されておらず、高い栄養不良率が改善されない原因となっています。

 

栄養不良の要因と栄養教育への取り組み

プロジェクトでは、栄養不良の主な要因となっている食事の量や栄養の偏りについて、妊産婦と乳幼児の食行動の実態を調査しました。多くの住民は、食材の値段が高いことや市場が遠いことなどから、食物へのアクセスが困難であると感じしていることがわかりました。また、いくつかの食物は嗜好に合わないことから食べないこともあり、さらに、家計が苦しく、スナック菓子などがおかず代わりに摂取されていました。食品そのものを知らない、あるいは、伝統的に摂取が妨げられている食物があることも判明しました。子どもへの授乳時や食事を与える際に手を洗わない母親が多いこと、朝食時の作り置きによる食物の長時間放置、また、家屋内部に設置された台所への家畜の出入り等、衛生環境による健康への影響も確認されました。乳幼児の食事観察では、一回の食事量が少ない、野菜やたんぱく質食品が少ない等の状況が見られました。

こうした現地の状況をもとに、妊産婦及び乳幼児の栄養改善の方法として、住民の栄養や衛生に対する知識の向上と行動の変容を目的とした栄養教育の強化に取り組んでいます。

 

妊産婦や母親が自ら使う「私の栄養カレンダー」

プロジェクトでは、対象地域の医師や看護師が、適切な栄養指導や健診を妊産婦や出産後の母親らに実施できるよう、研修を実施しています。そのなかで、栄養改善の教材として「私の栄養カレンダー」を開発しました。これは、医師と看護師らが妊産婦や母親への栄養指導に活用するものです。また、家庭では壁にカレンダーをかけることにより、妊産婦や母親がいつでも目にすることが出来るようにしています。この教材は、イラストや写真を多用しており、字が読めなくても理解ができるように工夫し、妊産婦や2歳未満児の一日の食事の目安量が示されています。また、栄養調査で判明した食事の偏りを改善し必要な栄養を摂取するために、可能な範囲で多様な食品を取り入れることを学べるようになっています。さらに、この教材は見るだけでなく、推奨されている食事の摂取ができているか、また子どもに適切な食事を与えているかなど、自らの行動をチェックする機能もついており、使用する妊産婦や母親たちが、楽しく使用できるように工夫されています。

 

地域にあった栄養改善を目指して

グアテマラの中でも多様な食物の入手が困難とよく耳にしますが、プロジェクトで実施したコミュニティリーダーとのワークショップでは、それぞれのコミュニティで多くの食物が栽培され、入手できることが分かりました。また地域ごとに多少の食物や嗜好の違いもあることも分かりました。今後は医師や看護師らが、各地域やコミュニティの特色を理解し、その特色に合わせた食事や栄養の指導ができるように、さらに活動を展開していきます。

アイ・シー・ネットは、グアテマラの地域保健の担い手である保健管区事務所の運営や保健医療施設での母子保健・栄養サービスの向上、母子保健・栄養に関するコミュニティ活動の実施促進の支援を継続し、妊産婦、新生児や5歳未満児の健康・栄養状態の改善を目指します。

本件に関する外部リンク先:
https://www.jica.go.jp/project/guatemala/004/index.html

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