Achievements

実績

豊かな前浜・沿岸資源保全管理と生計向上活動の両立

アプローチ
地域
国名 バヌアツ
SDGs 海の豊かさを守ろう
クライアント 独立行政法人国際協力機構(JICA)

未来の家族に豊かな前浜(沿岸)資源を

世界の前浜は、過去数千年間人々の食料資源でしたが、現代では生計手段の魚介類が急速に失われています。

バヌアツでは、住民にとって前浜の貝類、ナマコ、イセエビ、魚類は不可欠な存在です。これら資源を守るため、村の酋長の命令で採取規制海域を持つ所も少なくありません。しかし、近年の経済発展に伴う沿岸域での開発による環境破壊、規制海域外での魚介類の乱獲、気候変動の影響による生態系の変化から、沿岸資源の状況は悪化しています。この問題は国任せ、酋長の命令だけで解決することは不可能です。村の住民一人一人が世代を超えて前浜資源を引き継ぐことが望まれています。

 

行政と住民の自主性を引き出す仕組み造り

天然資源の管理を目的としたプロジェクトは、「保全」をキーワードに住民対象の啓発活動などが一般的です。それに加え、住民が経済的に天然資源に依存しないよう代替生計手段の導入が行われました。ところが、資源管理と生計向上活動の接点が曖昧なため、どちらつかずのプロジェクトが散見されるようになりました。

アイ・シー・ネットは、公平性、村の伝統的な統治や行政側のシステムを調べ、これら留意すべき複数の点を有機的に結び付けてこの課題に挑戦しています。例えば、漁民に利用され沖合の魚を獲る方法、女性には土産として死んだ貝殻を使った貝細工の販売方法を、さらに、これらの活動を村の共同活動とし、村統治委員会がそれらの活動をモニタリングする仕組みを作り、さらにそれをフォローする水産局の職員を育成してきました。

 

本物のオーナーシップ意識の醸成が村の自主的な活動を引き出す第一歩

アイ・シー・ネットは、政府や酋長によるトップダウンアプローチを残しつつ、住民の資源保全意識を高め、行動に移すことを促せる水産局職員の育成を目指して活動してきました。時間や手間を惜しまず、彼らが村内で発言することがまれだった女性や若者の意見を引き出しながら漁業制限の方法、生計向上手段の導入や管理の仕組みを含む資源管理計画の立案ができるよう支援しました。このような活動を通して、この国ではエリートの水産局職員の村への接し方が一変しました。「私たちの組織は村も政府も伝統的にトップダウン。ボトムアップアプローチがいかに重要かを初めて学ぶことができました」と語っています。

村から多くの住民リーダーが育ち、その中から水産局職員や州政府の村開発立案担当者に抜擢されました。さらに、資源管理計画の立案手法が、バヌアツの国家開発計画策定の基本アプローチとして活用されました。

アイ・シー・ネットがこのような複数の視点の活動を有機的にリンクできるのは、さまざまな分野の現場力のある専門家を擁し、お互いにインターリンクしていること、官・民両方の強みを併せもったネットワークがあるからに他なりません。

 

大洋州の国々の未来に豊かな前浜を

このプロジェクトの目的は沿岸資源の持続的利用です。プロジェクトの多くの活動はSDGsの目標14「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」のためのアクションプランにも沿っています。活動は公平性を追求しつつ資源管理との接点が目に見える生計向上活動を導入しています。これらの活動は地域産業へと発展することが期待されます。さらに、この地域では多数発生する台風など、自然災害時の緊急食糧としての役割、地域開発を促進するカタリストになることを目指しています。そのため、このプロジェクトの計画立案、モニタリングには水産局職員だけではなく地方行政官を巻き込みます。

村の女性、子供、障害者など社会的弱者も活動に参加しつつ、前浜資源の保全、地域産業の担い手となるチェンジエイジェントを育成します。そしてバヌアツを起点に大洋州全域に豊かな前浜が広がっていくことを目指していきます。

本件に関する外部リンク先
https://www.jica.go.jp/oda/project/1500559/index.html
https://fisheries-gos.gov.vu/
https://www.jica.go.jp/vanuatu/english/office/topics/141106.html

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