Achievements

実績

シリア難民向け社会サービス向上支援

アプローチ
地域
国名 トルコ
SDGs 平和と公正をすべての人に
クライアント 独立行政法人国際協力機構(JICA)

シリア難民に対する社会サービスのニーズ

トルコはシリア内戦で行き場を失った人々の最大の受け入れ国となっており、約314万人の難民がトルコで生活しています。内戦の長期化によりトルコへの定住を進める人も多く、国連やNGOの援助策は、人道支援からシリア人がトルコで生活をするための開発支援に移ってきました。日本政府もJICAを通じてインフラ整備などODAによる様々取り組みを行っています。アイ・シー・ネットは、その一環として、「シリア難民支援に係る情報収集・確認調査」でトルコ人とシリア難民を含む脆弱な人々に社会サービス全般を提供する家族・社会政策省に対する支援ニーズを調査しました。調査結果として抽出されたニーズは、①トルコ政府やNGOなどが行う社会サービスへのアクセス向上、②脆弱な人々への心理社会的ケアの質向上、③地域コミュニティにおけるシリア難民の社会統合の促進、④脆弱な人々の経済的自立支援の強化、の4つです。第2次調査である「シリア難民向け社会サービスに係る情報収集・確認調査」では、前述した4つの支援ニーズの中で、特に優先度が高い「心理社会的ケアの質向上」と「社会統合の促進」に注目してトルコ・シリア双方の住民に対する具体的な支援策を検討しました。

 

現状調査やワークショップを通じた支援策の特定

調査では「心理社会的ケアの質向上」と「社会統合の促進」に関連する国連機関やNGOがトルコで行っているシリア難民支援の現状把握と、トルコ人とシリア人の共存を促進するようなワークショップや技術指導を試行的に行っています。ワークショップや技術指導の対象は、トルコ人やシリア難民を含む脆弱な人々に社会サービスを提供している各県に設置された「社会サービスセンター」の職員です。このような活動を通じて、シリア難民が持つ課題に対する具体的なニーズと支援策を特定するための取り組みを実施しています。

 

異文化間の相互理解を深める活動を盛り込んだ調査

アイ・シー・ネットは、長年のトルコにおけるODA事業を通じて、社会政策・家族省と信頼関係を構築してきました。調査では、シリア人が置かれている現状の理解に留まらず、トルコ人がシリア人やシリア内戦についてもっと良く知る機会を作るため、イスタンブールの社会サービスセンター職員と一緒に異文化理解に関するワークショップを開催しました。第2次調査では、更に踏み込んで、トルコ人とシリア人の共存を促すため、パフォーマンス心理学の方法などを用いたワークショップを継続させ、社会サービスセンターのスタッフのファシリテーションおよびコーディネーション能力の向上を目指す試行活動を実施しています。また、社会福祉の側面から、スタッフのコミュニティワークの能力向上に関する技術指導を行いつつ、社会サービスセンターの機能強化を通じたシリア難民支援策の検討に焦点を当てて活動をしています

 

平和と公正をすべての人に

内戦の長期化により、シリア難民のトルコ定住が現実的な課題となってきた現在、トルコ人とシリア人双方の住民がお互いを理解し共存・融和することが求められます。今後は、社会サービスセンターの職員の能力を強化すると同時に、地域住民を積極的に巻き込みながら社会的脆弱者に対する福祉サービスの質の向上を目指した活動を実施していきます。

難民問題への取り組みは、SDGs16の目標「平和と公正をすべての人に」という課題にチャレンジするものです。その実現のため、社会福祉への取り組みを重視し、シリア難民やトルコの地域住民に対する質の高い社会サービスの提供を通じて、すべての人々の福利の増進を図り、平和と公正を平等に享受できることを目指したいと思っています。

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